国際金融情報 銭形ヘッジ(ZenigataHedge)

ウォジンローア博士の金利見通し

2009年10月08日

Sep 2009

円高が進行している。当分米国の短期金利がゼロに近いと予想されることからいたしかたない。米国もまた日本の1990年代の「失われた10年」もしくは15年を繰り返すのだろうか。

ウォジンローア博士は四半期ニュースレター(2009年9月15日付)で以下のような予測を述べている。簡単にまとめておこう。

1.  FRBの人為的な介入により、リセッションの期間は通常よりも短縮されるだろう。ただし、財政赤字と家計部門や民間の赤字は名目GDP成長率と同くらいのスピードで増加するとみられる。赤字はもちろん長期的な成長の足かせになるが、急激な赤字削減を優先すれば、赤字の減少どころかかえって増加を招き、成長にブレーキがかかり、リセッションへ後戻りする可能性がある。

2. 米国では民間・政府の赤字が個人消費を抑制し、「雇用なき回復」に向かいそうだ。米国の雇用はむしろ海外からの輸入増加に依存しており、海外の実質的な在庫調整が短期的に米国経済に影響を与えそうだ。米国の実質GDP成長率は来年2010年いっぱい2%程度で、こうした状況では失業率は引き続き悪化が予想される。逆に米国以外の諸国では雇用促進が見られるだろう。

3. 米国短期金利は低く抑制され、これがドル安の要因となっている。

4.  米国の景気回復は、個人消費よりも企業の設備投資がどのくらい早く回復するかにかかっているのだが、これは特に中小企業への信用拡大がどの程度進むかによる。裏返せば、信用収縮に歯止めがかかるには、銀行など金融機関が商業不動産や建設融資の回収が速やかに進む必要がある。企業の設備投資が活発化した場合には、米企業が国内よりも海外進出により拡大してゆくか、国産よりも輸入による設備投資を求めるかどうかにもかかっている。

5. こうした状況で有望なセクターは、代替エネルギー、バイオメディカル、ヘルスケア、ITである。今はまさに産業構造自体が変化を遂げるときだ。起業家は資金調達の苦しさを超越し、また、政治的、イデオロギーの枠を超えて民間・政府部門が互いに協力をするべきだ。技術革新がスピーディに進むのか、民間企業への設備投資がどの程度活発化するかが、景気回復を見極めるポイントとなるだろう。

6. 金融市場では、ひとつのパラドックスが見られる。信用収縮が懸念されるなか、銀行や証券は、ゼロ金利と貸出のカウンターパーティ・リスクに対する政府保証によって、企業や個人への貸出よりも既存の金融商品取得に走っている。しかも、信用収縮でサイドラインにたまったマネーは、投機筋のようにレバレッジをかけた貸出で高い収益を狙う。こうした実状を踏まえれば、いくら新しい規制を求めてもすぐに有効な規制の枠組みはできないと思われる。特定の貸し手から融資リスクを公けにばらまくような証券化手法がある限りは。

7. バーナンキFRB議長は、エコノミストとして狭い範疇での政策に集中する場合には、現実の資産価格(アセットプライス)を無視しがちである。経済活動は、短期金利よりもむしろ資産価格の動向と信用状況に左右されるようになっている。金融市場はバブル中毒になり、投機への歯止めがなければ、やがては投機的バブルの再来とそのあとにやってくる深刻なリセッションを避けることはできない。

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