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外国人投資家が選ぶ個別銘柄とは

2009年07月09日

世界に誇れる日本企業こそ、買い

7月1日にテレビ東京の「ファイン」(3時半から4時)という番組に出演した。外国人投資家が買っている日本株銘柄を発掘するという趣旨だった。私の持ち時間は4分。しかし、途中全日空の決算速報が入り、全部の銘柄を紹介できなかった。読者の皆様にはここできちんと紹介しておこう。
外国人投資家が日本株銘柄選択で注目するのは、以下の3点で、

1. 日本国内はもとより世界で圧倒的なシェアを持つ
2. 日本に強みのある介護、エコ、環境や省エネがテーマ
3. 事業キャッシュフローが安定的で営業利益がしっかり
以上の点をクリアした銘柄は次の5つです。

① セコム
過去30年間、年率平均10%超えリターンを上げてきた
米著名ファンドなど注目・・・外国人持ち株比率は4割超
・ 5年以上の長期契約が主流= 安定した営業利益
・ シェアが圧倒的に大きい(国内6割以上)
・ 高齢化によるビジネスの成長見込める
・ アジアでの優位性
・ 関連事業(在宅介護など)の相乗効果高い

② フェローテック 金融危機の中でも外国人保有比率が上昇
・半導体製造する際の“真空シール”という部品は世界シェアが7割と圧倒的
・注目の太陽電池パネルの部分にも真空シールが使われている

③ 日本製鋼所
・ 石油に代わるエネルギーとして原子力が注目される中、同社の室蘭製作所では世界で唯一、原子炉容器の中核部を放射能漏れの恐れが少ない形で製造可能な原子炉容器を製造。しかも世界シェアの8割と圧倒的
・ 今後2年で原子炉容器の生産力を2倍に拡大する予定

④ 科研製薬
・ 関節の動きをスムーズにする薬など高齢者向けに強く、高齢化で期待が大きい
・ 主力の薬事業が好調で安定した営業収益

⑤ ホギメディカル (手術衣トップ)

世界の投資家の目で日本市場を見ると、グローバルマネーの運用者百社のうち98社は、日本株だけに投資するファンドには興味がないと話していた。じつはこの傾向は2,3年前から顕著になってきている。グローバルな投資家は、アジア全体を投資対象として横断的・水平的に見て、その中で日本を位置付けている。ところが、日本は先進国と新興市場というように、一人当たりのGDPによるランク付けに基づいて、発展段階による垂直的な見方をしている。そして、自分以外の人々が決して自分と同じようには世界を見ていないという事実に鈍感である。
例えば、日本株ファンドの運用者は、自動車産業でいえば、トヨタ、ニッサンなどを比較検討する。一方、アジア市場全体が投資対象となれば、トヨタやニッサンは、日本国内のメーカーのみならず、中国や韓国、インドのメーカーとその競争力や収益性・成長性を比較される。
日本企業の収益性や成長性の低さや将来性を考えれば、グローバルな投資家は日本売りを仕掛けてくるだろう。日本企業の経営者は国内のシェアにこだわり、業界横並びの競争に敏感かもしれないが、実際は国際基準で改善努力をしていかなければ、アジアの他のメーカーとの競争に負けてしまう。
一時、外資系ファンドが経営体制の刷新と収益改善を求め、「物言う株主」として登場した。一部の企業で収益性の改善がなされずに海外のメディアからは再び「ジャパン・バッシング」が起こった。日本では、力の弱い企業を外資が買い叩く「ハゲタカ」ファンドのイメージが独り歩きし、映画にもなった。しかし、それは10 年も前の話である。いまや、グローバルな投資資金は、日本を叩くどころか、通り過ぎてゆくだけだ(ジャパン・パッシング)。
世界中が日本を通り過ぎて行けば、日本人しか日本株や日本国債を保有する投資家はいなくなるだろう。国際基準で競争力のある日本企業は日本を脱出し、国内にはゾンビとなった企業と年金生活者の老人だけが残る。日本全体が過疎化し廃村となって、政府とともに民間も国民も倒れてゆく。これが近未来だとすれば、文字通り「日本沈没」である。
21世紀、日本政府、企業、そして私たち個人が生き残るためには、変化の渦の中を泳ぎきり、自らの体質を変えていかなければならない。「永遠の昨日」のルーチンワーク以外の新しいことをやらなければならないのだから、それにはリスクがともなう。リスクをとってでも、自分が世界と対話し、世界に向けて自分を開いてゆく作業を続けなければならない。そして、外に向けて自分の哲学やメッセージを発信し、真実を見出してゆく己の姿をオープンにして存在の意義を問い続けることで評価を得てゆかなければ、やがては忘れされてしまう。
外国人投資家の目で選ばれた銘柄は、世界でも勝負できる企業。こうした日本企業がたくさん出てくることを期待したい。

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