HF投資を増やすNJ州、NY市の公的年金

SAIL 大井幸子
2007年6月18日   
 
 
 ニュージャージー州の公的年金投資部門は、870億ドル(約10兆4400億円)を運用している。同部門はヘッジファンド(HF)へのアロケーションを増やす予定である。昨年破綻したアマランスへの投資のためにHF投資で損失を出したにもかかわらずの決断である。
 同部門のウィリアム・クラーク氏は、「アマランスでつまずいたものの、限られたスタッフでやっているわりには、我々の運用体制には進歩が見られる」と語る。
 昨年、同州はオルタナティブへのアロケーションを14%から19%へ増やした。その結果、HFの組み入れ率は4%から6%に上昇した。クラーク氏はHFへのアロケーションも将来にわたり増えるという。
 これまで同州はオルタナティブ投資の経験がほとんどなかった。手始めにファンド・オブ・ヘッジファンドへの投資を行った結果、そのファンド・オブ・ファン(FoFs)に組み込まれていたアマランスが破綻したために、損失を被った。
 同州の投資は、特定の戦略FoFsに加え、単一のHF(シングル・ヘッジファンド)への投資も行っている。投資先の選択基準は「一流ブランド」だとクラーク氏は語る。資産規模が大きく、有名なHFを投資先に選んだことで、アマランスも含まれたわけだ。アマランスは昨年9月に破綻し、そのアマランスを組み入れていたFoFsへ同州は2千万ドルを投資していた。
 クラーク氏はアマランス破綻後にその原因究明に乗り出した。そして、通常マルチ・ストラテジー運用だったはずのアマランスが、破綻直前には天然ガスのポジションが過半数以上に集中するという急激なシフトを見出した。天然ガスの価格はアマランスのトレーダー、ブライアン・ハンターの思惑とは逆方向に下落し、アマランスは一瞬にして巨額の損失を抱えた。
 この事実から、クラーク氏は「公的年金が投資対象とするオルタナティブとしては、HFよりもプライベート・エクイティ(PE)のほうがふさわしいかもしれない。PEのリスク特性はクローズされた期間で一貫しており、HFのように数週間で激変することはない。HFのドラスティックなポジションのシフトは、相場の方向性と逆になる場合には短期集中的に多大な損失を及ぼす」と述べる。
 さらに、同氏はHF投資のあり方についていっそう透明性を要求し、また、手数料については「投資家がベータではなくアルファに対して手数料を払っているという理由から、運用手数料2%と成功報酬20%という手数料体系には大きな欠陥がある」と批判的である。
 さて、ニューヨークの市公務員退職年金基金(New York City Employees’ Retirement System)もまた、この秋にオルタナティブ投資へのアロケーションを増やす予定だという。HFN社とのインタビューに応じた年金副監査役のジョセフ・ハスリップ氏によると、アクティブ戦略に6%から8%のアロケーションを決定済みという。この新規投資には、インデックス運用のほか、環境管理、アクティビスト(ロング・オンリーの)ファンド、そしてHFも含まれる。

Alternative Universe 6月18日号より抜粋・翻訳


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