【サンプル】
2010/02/01
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海外金融業界最新情報セイルメルマガ
Vol.001
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今回の目次
● 国際金融情報 銭形ヘッジ
ウォジンローア博士の金利見通し
● 世界経済の時流を読むセイル社長日誌
見放される日本、中央集権的官僚体制強化へ
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● 国際金融情報 銭形ヘッジ
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ウォジンローア博士の金利見通し
円高が進行している。当分米国の短期金利がゼロに近いと予想されることからいたしかたない。米国もまた日本の1990年代の「失われた10年」もしくは15年を繰り返すのだろうか。
ウォジンローア博士は四半期ニュースレター(2009年9月15日付)で以下のような予測を述べている。簡単にまとめておこう。
1. FRBの人為的な介入により、リセッションの期間は通常よりも短縮されるだろう。ただし、財政赤字と家計部門や民間の赤字は名目GDP成長率と同くらいのスピードで増加するとみられる。赤字はもちろん長期的な成長の足かせになるが、急激な赤字削減を優先すれば、赤字の減少どころかかえって増加を招き、成長にブレーキがかかり、リセッションへ後戻りする可能性がある。
2. 米国では民間・政府の赤字が個人消費を抑制し、「雇用なき回復」に向かいそうだ。米国の雇用はむしろ海外からの輸入増加に依存しており、海外の実質的な在庫調整が短期的に米国経済に影響を与えそうだ。米国の実質GDP成長率は来年2010年いっぱい2%程度で、こうした状況では失業率は引き続き悪化が予想される。逆に米国以外の諸国では雇用促進が見られるだろう。
3. 米国短期金利は低く抑制され、これがドル安の要因となっている。
4. 米国の景気回復は、個人消費よりも企業の設備投資がどのくらい早く回復するかにかかっているのだが、これは特に中小企業への信用拡大がどの程度進むかによる。裏返せば、信用収縮に歯止めがかかるには、銀行など金融機関が商業不動産や建設融資の回収が速やかに進む必要がある。企業の設備投資が活発化した場合には、米企業が国内よりも海外進出により拡大してゆくか、国産よりも輸入による設備投資を求めるかどうかにもかかっている。
5. こうした状況で有望なセクターは、代替エネルギー、バイオメディカル、ヘルスケア、ITである。今はまさに産業構造自体が変化を遂げるときだ。起業家は資金調達の苦しさを超越し、また、政治的、イデオロギーの枠を超えて民間・政府部門が互いに協力をするべきだ。技術革新がスピーディに進むのか、民間企業への設備投資がどの程度活発化するかが、景気回復を見極めるポイントとなるだろう。
6. 金融市場では、ひとつのパラドックスが見られる。信用収縮が懸念されるなか、銀行や証券は、ゼロ金利と貸出のカウンターパーティ・リスクに対する政府保証によって、企業や個人への貸出よりも既存の金融商品取得に走っている。しかも、信用収縮でサイドラインにたまったマネーは、投機筋のようにレバレッジをかけた貸出で高い収益を狙う。こうした実状を踏まえれば、いくら新しい規制を求めてもすぐに有効な規制の枠組みはできないと思われる。特定の貸し手から融資リスクを公けにばらまくような証券化手法がある限りは。
7. バーナンキFRB議長は、エコノミストとして狭い範疇での政策に集中する場合には、現実の資産価格(アセットプライス)を無視しがちである。経済活動は、短期金利よりもむしろ資産価格の動向と信用状況に左右されるようになっている。金融市場はバブル中毒になり、投機への歯止めがなければ、やがては投機的バブルの再来とそのあとにやってくる深刻なリセッションを避けることはできない。
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● 世界経済の時流を読むセイル社長日誌
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見放される日本、中央集権的官僚体制強化へ
1月13日に恒例のモルガンスタンレー・アセットマネジメント主催の新春年金セミナーに顔を出した。会を締めくくるにあたり、5百人を超える多くの参加者を前に、同社の古川執行役員は興味深いことを述べた。
そのひとつをまとめると、昨年モルガンスタンレーは日本株運用から撤退した。日本という国に成長性があるのかという問いに対して、米からみて答えはノー、つまり、日本自体に戦略的な有効性を認めなくなったのだ。もちろん、ソニーなど優良銘柄への個別投資は続ける。しかし、それはアジアの中で投資対象を探したら、たまたま中国企業ではなく日本企業だったというベースに基づいている。日本企業がグローバルな投資家の投資対象となるには、韓国、中国、インドの企業と比べて競争力があるアジアの企業として価値を認めてもらわなければならない。見放される日本、日本国内の機関投資家や企業経営者は真剣に危機感を募らせている。
セミナーが終わった後、知人の年金運用担当者と飲みに出かける。ヘッジファンドの投資家でもあるこの常務理事は、最近はマネジャーが機関投資家をとばして直接年金を訪問してくると話す。リーマン・ショック後リスク・アセット圧縮に動く銀行や生損保は、積極的な投資行動ができないでいる。しかも、内部に抱える不良資産を吐き出せないでいるため、図体は大きいのに体力がどんどん衰え始めている。そんなところへ海外からわざわざ訪問するマネジャーは減り、彼らのところへ最新情報が届かなくなっている。
日本の銀行や生損保の企業融資が先細れば、能力のある企業はニューヨーク証券取引所に上場するなど海外で資金調達し、国外に出てしまう。競争力のないゾンビ企業だけが国内に残れば、日本の成長性にもさらに陰りが出てくる。日本が成長しなければ、インデックス運用が多くを占める年金基金でも損失がかさみ、「ヘッジファンドでいくら儲けても、国内運用のロスに吸い取られてしまう」という運用状況である。年金運用者も真剣に行く末を懸念している。
日本が将来繁栄を続けるためには、技術革新の著しい昨今、特に新規分野での研究開発、成長分野への投資は欠かせない。将来を見据えた戦略的な投資がなければ、産業は育成されず、国として競争力を失い、衰退する。慢心して世界の流れに遅れれば、国富を失うことになる。しかし、リスクを伴うこうした投資資金は、機関投資家から離れつつある。
今、一番大きなリスクを張っているのは、個人投資家と政府である。日本の個人投資家は外為取引でヘッジファンドも顔負けの大きなレバレッジをかけている。また、日本政府は、国民の税金を破たんさせるべき日本航空の穴埋めにつぎ込むなど、最もリスクの高い投資を行っている。日本のリスク資産は、投機的な個人とリスクに最も疎い政府の役人という、プロとは程遠い人々の手によって運用されている。なんとも恐ろしいが、これが現実である。
日本の国富に目を転じよう。日本には個人資産1500兆円といわれるほどたくさんのお金があると思っている人も多い。しかし、日本国民は、自分達の金融資産のほとんどが国債・地方債を通して国に吸い上げられている事実を知るべきである。(大まかな数字であるが)家計部門の金融資産は約1410兆円、負債 380兆円を引いて1030兆円ある。この資産のうち960兆円は、公的部門(公的年金、ゆうちょ銀行、かんぽ生命、企業年金基金)と国債・地方債の一般政府部門の資金に吸い上げられている。さらなる国債増発で家計部門は完全にマイナスに転化。農家への所得保証や各世帯への子供手当などの政府のばらまきによって負債は増加する。
財務省をみると一般会計で80兆円、特別会計で200兆円のお金があるという。特別会計の巨額なお金の用途は様々な法律によって縛られ、がんじがらめになっている。日本は「しがらみのポートフォリオ」状態である。お金がありながら有効活用できない、まさに「金縛り」といえるだろう。
そして、海外からは日本に成長はないと見放されつつある。その一方で郵政の官製化が進むなど、民間圧迫おかまいなしの、強力な中央集権国家官僚体制が出来上がりつつある。民主党が無知無力なだけに、小党分裂がおこれば政治不安が増幅し、政治的リーダーシップもなく、国家官僚体制は一層強固になるだろう。
もし、シンガポールのGICなど名だたる国富ファンドのように、プロ中のプロが運用を管理し、堅実な年金運用と成長を踏まえたリスクマネーの投資の両面でしっかり目配りでき、政府系でも優れた運用実績を積むことができるのであれば、国民にとってもプラスである。こうした運用者には成功報酬を払ってもよいだろう。しかし、プロの訓練を受けていない日本の役人が運用すれば、JALごときの放漫経営で破たんに至るのは目に見えている。
効率的な国家経営において、日本では強力な中央集権化を前提に、時代の逆を行く日本が見捨てられないためには、民営化よりも官製化でどうやって強くなれるのか、国を挙げていかにして優れた運用体制を作るか、総力戦として知恵を結集すべきではないか。かつて「ルック・イースト」とシンガポール政府は日本を評価してくれたが、今はその逆に、日本がシンガポールを始めアジアの新興諸国の生き残り戦略を参考にしたほうがよさそうだ。